「メローニ政権は極右と言われども…」

昨夏の旱魃のときは秋になればポー川に水が戻るから…と一縷の望みを抱いた人も多かったでしょうが、無情にも秋になっても冬になってもポー川の水量が驚嘆に少ないことは変わらず、上空から見るとポー川下流域の緑がどんどん減っています。先日イタリア政府は海水淡水化政府案を議決しました。実はイタリアの旱魃は20年前から始まっていましたがここ数年で誰の目にも明らかになったことで一気に人々の耳目を集めるようになったのです。今後はなるべく早く海水淡水化施設をガンガン作っていくことになるでしょう。早ければ30日間でできるそうです。

またロシアにエネルギーを依存していたヨーロッパでは今年の冬は国民総出の節約で乗り切ったものの、脱ロシアに向けてイタリアは着々と準備を進めてきました。イタリア人移民が多いアルゼンチンのシェールガス資源を確保し、シンガポールから購入したイタリアの領海には浮体式再ガス化設備を持つタンカー2隻が順次始動予定です。昨年末は天井知らずに高騰したガスや電気代もようやく安定してきました。極右と評されるメローニ政権ですが経済再生が第一目標と首相が宣言している通りガッツリ経済対策に取り組み、先日はついに政府のエネルギー省による堂々の“脱ロシア宣言”となりました。先月は税制改革も決まり、ある新聞の見出しには「左派(政権)では増税、右派では減税」と書かれたように、(全員ではないけれど)サラリーマンが減税で喜び、さらに自宅購入時の付加価値税が非課税になるなど一般の人達にもうれしい改革になっています。メローニ政権発足時は、この政権はいつまで続くかと意地悪な報道もありましたが国民からは支持されているようですね。今年に入っての地方選挙でも勝利していることから意外に長期政権になるかもしれません。

ところでメローニ政権は連立政権なのでメローニ首相はイタリア同胞党、副首相サルヴィーニは北部同盟党、同じく副首相タイアーニはフォルツァ・イタリア党です。2013年創立フォルツァ・イタリア党の党首はベルルスコーニ、これを知らない人はいないでしょう。そのベルルスコーニ元首相は1936年生まれの御年86歳、高齢者の星とでも言いたいほど元気が良いのですが復活祭の日からミラノのサン・ラッファエッレ病院に入院中です。久しい前から慢性白血病で、肺炎で入院した当初は集中治療室だったので各メディアが色めき立ちました。ベルルスコーニのコアなファンは病院の外で回復を応援していましたが、昨日から一般病棟に移りました。一時は子供たち全員が病院に集まるなど、本当にアヤシイ雰囲気で関係者が必死にベルルスコーニ健在アピールしていましたが、悪運が強いというべきか、驚異的な生命力と言うべきか…3年前から公認フィアンセであるマルタ・ファシーナ議員(33歳、フォルツァ・イタリア党)も一安心ですね。

話は変わりますが4月2日に行われたフィンランドの総選挙。中道右派が勝利しサンナ・マリン首相率いる社会民主党は敗れました。注目すべきは中道右派の次点者は極右だったこと。フィンランドでは伝統的に連立政権なので、中道右派がどの党と組むかということですね。フィンランドでも極右寄りの政権が誕生するかもしれません。このニュースを見ながらひょっとすると極右の流れが今後の欧州のトレンドになるかも…と、ふと考えてしまいました。

ではまた