「サンレモ音楽祭2023が終わりました」
2月11日大好評のうちにサンレモ音楽祭2023は幕を閉じました。最終日第2部の視聴率は70%越えという名実ともに国民的音楽祭でした。今年からは新人部門でのランク付けがなくなったことで、新人部門から選抜されたアーティスト5組もBigレースで争いました。優勝はマルコ・メンゴーニ、2位はラッツァ、3位はMr. Rainでした。マルコ・メンゴーニは34歳と若いのですがなんと2度目の優勝、最初の優勝は2013年ととても若くしてキャリアをスタートし成功した歌手です。1度目の優勝曲は「L’essenziale」、今回は「Due Vite」、彼の歌は本当に表現力があって素晴らしいです。個人的には1年前リリースされたマダムとのデュエット「Mi fiderò」が好きですけれど。マダムという歌手は若干20歳の若い歌手ですが、パンチが効いた声が魅力的で今回のサンレモ音楽祭にも出場しています。残念ながら彼女の曲「Il bene nel male」は7位でした…とても残念です。昨年末マダムは新型コロナを打っていないにもかかわらず偽造したワクチン接種証明書を使っていたということがメディアにすっぱ抜かれて、一時はサンレモ音楽祭に出場できるか危ぶまれたのですが「両親の方針に従っただけで私は犠牲者」とSNSで声明を出して騒動が収まった経緯がありました。20歳は成人とは言え両親の影響は大きかったでしょうから無理もないと皆納得し丸く収まりましたけれど、イタリアでは“ワクチンをしない自由”の権利はイタリアの社会で認められないということが良くわかる騒動でした。日本での“マスク非着用”の権利を巡る悩ましさとどこか似ています。
さて今回はジョルジアやパオラ&キアーラなどベテラン歌手も参戦しましたが、ジョルジアの「Parole dette male」は6位、パオラ&キアーラの「Furore」は17位と揮いませんでした。辛辣な表現になるかもしれませんが上位の曲とは、空気感の“時代が違う”ように思いました。レトロ感を上手く取り入れた曲もあるのですが、今回のサンレモではそういった曲はなかったと思います。
さて、1位と2位の曲の共同作詞家は実は同じ人、ダヴィデ・ペトレッラといいます。ナポリ出身の作詞&作曲家なのですが、昨年もサンレモ音楽祭用に4曲も!提供しているのです。ペトレッラはスポットライトを浴びるのは好きではないようですが、もしサンレモ音楽祭に作詞賞があれば間違いなく彼が優勝者でしょう。2017年からジャンナ・ナンニーニの「Fenomenale」やエリーサの「Ogni Istante」、ラッパーのJ-Ax&フェデスの「Vorrei ma non posto」など数多くのヒット曲を手掛けて以来、2022年のサンレモ音楽祭ではエンマの「Ogni volta è così」(6位)、エリーサの「O forse sei tu」(2位)、アキッレ・ラウロの「Domenica」(14位)、ジューシー・フェッレーリの「Miele」(23位)を手がけました。まさに現代イタリア音楽界のヒットメーカーですね。来年はどんな曲が出てくるか楽しみですね。
では