「サンレモ音楽祭優勝曲、あなたのお気に入りはどれですか?」

イタリアでは昨年の大みそかからビッグニュースが続いております。12月31日にラッツィンガー枢機卿(生前退位した教皇ベネディクトゥス16世)が亡くなり、1月5日に葬儀、翌日にはフランシスコ教皇肝いりで40年間未解決だった少女失踪事件の再捜査がヴァチカン裁判所で決定し秘密主義のヴァチカンから新たな情報がでてくる可能性が出てきました。この辺りの詳細はアカデミアイタリアーナのコラムをご覧いただきたいのですが、要するに保守派の重鎮であるラッツィンガー枢機卿が亡くなったことで改革派のフランシスコ教皇が積極的に動かれていくのではないかと思われるのです。もちろんカトリックの権威を損なうような情報開示は金輪際ないでしょうが。また16日にはコーザ・ノストラの大ボス、マッテオ・メッシーナ・デナーロがついに逮捕されて、30年の逃亡生活がようやく終わりました。彼が関与した殺人事件はジョヴァンニ・ファルコーネ判事爆殺事件や、12歳の少年ジュセッペ・ディ・マッテオを誘拐し2年間も監禁・拷問したあげくに絞殺し、その死体を酸で溶かした恐ろしい事件などがあります。逮捕後、メッシーナ・デナーロの代理人は彼が後任のボスを予め決めていたこと、そのため警察と取引しないと公言していますし、また結腸癌の治療中(逮捕時化学療法が始まる直前だった)で病状は良くないと一部のメディアが報道しているので警察の捜査が進展する前に亡くなってしまうかもしれません。いづれにしてもメッシーナ・デナーロは極めて普通の人だったと、彼が逃亡犯と知らなかった周囲の人は話しています。目立たない普通の暮らしと信頼のおける仲間たちが30年の逃亡生活を続ける鍵ですね。もし逃亡犯になったら参考にしましょう。

さて来月7日に迫ったサンレモ音楽祭2023では毎回芸能人以外に前年社会で活躍や貢献した人を招待します。例えば新型コロナ禍の時は懸命に働き続けた病院関係者の中からアイコンになった看護師を招待しました。今年はイランの女性運動関係からイラン系イタリア人ジュリア・サレーミ(モデル兼インフルエンサー)がアリストンの舞台に立ちイランの女性解放運動について語る、ということが実現するかもしれません。公式発表はないものの1月19日のfanpageの記事の話なので可能性は十分ありそうですね。また期間中は日替わりで大物芸能人が登場しますが、その中でも注目はやはりマネスキン。先日発表された新アルバム「Rush」と同時に9日木曜日の夜サンレモ音楽祭に登場することが公式に発表されました。マネスキンと言えばイスタンブールのコンサートで「メンバーの絆を永遠に誓うため感動的な結婚式をする」と観客に約束し、ローマでの新アルバム発表イベントにてメンバー同士で“結婚”するパフォーマンスを見事披露しました。メンバー4人が2人に分かれて新郎・新婦の扮装をしたのですけれど、ヴィクトリア(ベーシスト)の花嫁姿はカワイイですがイーサン(ドラマー)の花嫁姿は…感想を書くのはやめておきます、ハイ。また4回目の参加になる歌手のエロディ(歌は「Due」)は2017年が初サンレモで、参加するたびに洗練されていくのが注目の的。歌唱力とヴィジュアルに恵まれた彼女の衣装も歌と共に見どころの一つです。

いろいろ黒い噂があるものの毎年サンレモ音楽祭で優勝曲が誕生するわけです。では優勝曲の中でどれが一番聴かれているか、考えたことありますか?fanpageは音楽ストリーミングサービスで視聴されている数が多い曲を調べました。その記事によると最も再生されている曲トップ5は…

  1. マネスキン「Zitti e Buoni」(2021年)再生回数3億6600万回数以上。ぶっちぎりの1位です。若いローマ出身4人組のロックバンドは衝撃的でした。今もロック魂全開で驀進するマネスキンです。どのように年を重ねるのかとても楽しみなグループです。
  2. マフムード「Soldi」(2018年)再生回数2億1300万回以上。マフムードの歌詞が当時(そして今も)西欧社会を揺さぶる難民問題を想起させるもので、とても考えさせられる歌詞でしたね。
  3. マフムード&フランコ「Brividi」(2022年)再生回数1億1千万回以上。これはマフムードとフランコのデュオです。局以外にジェンダーフリーの時代の雰囲気を見事に捉えた演出や衣装も印象的でした。
  4. ディオダート「Fai rumore」(2020年)再生回数5200万回以上。ディオダートが“君がいない寂しさ”を歌ったこの曲は、当時恋人と別れて間もないディオダートが彼女(歌手のLevante、今年参加)を思って作ったのか、と憶測を呼びました。全然違うと否定されましたが…
  5. ファブリツィオ・モーロ&エルマル・メタ「Non mi avete fatto niente」(2018年)再生回数3350万回以上。普段はソリストとしてそれぞれ活躍するファブリツィオ・モーロとエルマル・メタがデュオを組み、見事優勝しました。

さあ今年生まれる優勝曲はどうなるか?今から実に楽しみですね!ちなみに最近は女性歌手の優勝者が出ていないのです。同性として極めて残念ですが、今年こそは期待したいですね。

では、今年もよろしくお願いいたします。