「オミクロンの先にあるもの」
今年もよろしくお願いいたします。
1月10日からイタリアではスーパーグリーンパス(別名グリーンパス強化版)制度が導入されました。従来の防疫パスであるグリーンパスのいわば改良版です。スーパーグリーンパスの対象者は新型コロナから回復して6カ月以内の人、あるいは最低2回のワクチン接種から6カ月以内の人です。10日から生活の様々な場所、例えばレストランやバールで飲食するためにはこの強化版防疫パスが必要になりました。このままで行くと、そのうちエクストラスーパーグリーンパスとかが必要になるかもしれませんね(こんな防疫パスはありませんよ、念のため)。
昨年末まで欧州でオミクロン株が猛威を振るう中、イタリアでは感染者の増加をかなり良く食い止めていたのですが、増加に転じて以降未だにピークが見えない状態です。11日の感染者は2,134,139人、前日比約13万人増という前代未聞の増え方をしています(陽性率16%)。死者も欧州の中では比較的多く294人、理由は大方の予想通り高齢者が多いから。そして残念ながら隣国フランスも最多記録を更新してしまいましたね。イタリア政府は50歳以上の国民にワクチン接種義務化したいのですが、現実的には現場の大混乱を招き、さらに莫大な費用がかかるため不可能との意見も出ています。もちろんワクチン接種義務化により大勢の命が救われるのは確かなのですが…
国が変わってスペインでは新型コロナの扱いを他の伝染病と同じ様にすることが言われています。欧州ではここ数カ月複数の専門家がこれまでのウイルスの変化を考慮したうえで、新型コロナは風土病化しつつあると予測、毎年何千人も死者や感染者が出ようともコロナ・ウイルスとの共存体制構築に軸足を移しつつあるからです。上記の提言をしたスペインの「家族及び地域医療学会」(semFYC)は新型コロナ感染予防のための特別な防疫措置をやめて通常の防疫措置に戻し、新規感染者を数える事もやめて、インフルエンザと同じように扱うべきとしています。また防疫対策は感染症にかかりやすい人に特化したほうが良いとも。結局のところ欧州では新型コロナを短期間で駆逐することは不可能で、共存するしかないという見方に移行しつつあるのです。遅かれ早かれ世界中でこのような見方が主流になるでしょう。
今や老いも若きも新型コロナ感染をしっかり予防する時代になりました。もちろん子供たちも。6歳以上の子供たちもマスク着用が義務化されたのですが、子供用FFP2マスク(日本の防塵マスクDS2に相当する)という規格は存在しないため、巷では「どーすればいいの???」となっているのですね。現実的に小さめFFP2マスクで対応しているのですが、子供用に認可されていないと問題視する向きも。大きくても小さくても問題なさそうですけれどね。またマスクの値段に関しても政府と薬品庁で話し合いの結果、0,75セントにほぼ決定しました。日本でもこうしてもらえると良いのですけれど…
そこまでするか?と言いたくなるワクチン接種拒否派の行動。パレルモではワクチンを打つふりをしてガーゼに中身を捨てた看護師ら3人が検察に起訴されました。件の看護師は400€(52,000円)で買収されたそうです。たった5万円で看護師資格剥奪になるかもしれないリスクを冒すとは…
今年もまた新型コロナに翻弄される一年になるのかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
ではまた