「2021年11月のイタリア雑記」
日本ではコロナ感染が激減し喜ばしい事ですが、最近微増傾向にあるので油断することなく警戒していきたいものです。一方ヨーロッパ各国では感染拡大傾向が続いており、イタリアのメディアでは感染第4波を言われています。イギリス以外でフランスやドイツでは24時間の感染者が数万人になっていますが、イタリアやスペインは数千人規模に抑え込むことに成功しています。オーストリアではワクチン接種拒否派の人たち限定のロックダウン(レストランや公共機関などを利用できない)を8日から施行したので、ワクチン接種希望者が大幅に増加しているそうです。イタリアのトリエステではワクチン接種済証であるグリーンパス反対派の大規模集会があったのですが、現在そこで起きたクラスターにより200名以上の陽性者が確認されています。大規模集会が大規模クラスターになってしまったとは何たる皮肉。
さて、クリスマスが巷の話題になる季節がやってきました。去年は自宅であろうと人が集まることは禁止、寂しくて侘しい、そして経済効果も(たぶん)例年に比べてショボいクリスマスでしたが、今年は“ッ違う!”と意気込んでいるのは一般人のみならず政府も同様のようで、クリスマスを救うための3回目のワクチン接種計画が近日中に発表される見通しです。各メディアが報じているのは「国民全員に3回目のワクチン接種」で、おそらく50歳以上への接種は直ぐ始まるでしょう。また教育関係者への接種も優先されるようです。その他の人達への接種は1月か2月にずれ込む可能もあるということですね。もっとも州によっても対策が違うので、例えばミラノが州都のロンバルディア州では9日から60歳以上の人たちへの3回目のワクチン接種が薬局でできるようになりました。余談ですが筆者がワクチン1回目を受けた所は美容外科で、生れて初めて美容外科なるところに足を踏み入れたのですが同じ病院でも別世界でした。ある意味、ワクチン以上に特別感満載の初体験でした。ちなみに連日数万人規模の感染者を出しているドイツでは早々に国民皆3回目ワクチン接種が決定しています。
話はガラッと変わりますが、イタリアでは地域問わず就業時間内の午前10時頃コーヒーブレイクを取ります。“同僚とバールに行ってエスプレッソを飲む”というもので、イタリア人にとって欠かすことのできない、いわば儀式のようなものです。…で、この儀式について先日破棄院(日本の最高裁にあたる)が、このような見解を出しました。曰く「上司の許可を得てコーヒーを飲みに行ったとしても、コーヒーブレイク中に怪我、病気、障害になった場合の補償はない」。これは「フィレンツェ検察の職員が許可を得てコーヒーを飲みに出かけている間に路上で転んで手首を骨折した」という案件が10%の障害と補償に該当するか否か、国立労働災害保健研究所(Inail)の申し立てに対する破棄院の決定です。“コーヒー一杯”は仕事に関係する必要不可欠なものではなく個人の自由な選択、というわけですね。ではまた
(唐木麻美)