「最近のイタリアnews」

今年の夏は水不足で大変でした。温暖化によりイタリア産農作物の3分の１がマイナスの影響を受けるということがCOP27で発表されました。特に深刻な状況はポー川の水不足です。また日本では今秋は寒くなる予報ですが、イタリアは季節外れに暖かく木々は紅葉せず桜やミモザが花を咲かす…11月1日のコルディレッティの記事によると、北から南と半島全体の季節感が狂っているようです。2022年は1800年から平均約1度（0,96度）気温が上がっています、1度上がっただけでこれですから2度上がったら完全に生活が変わりますね。因みに農業の天敵である害虫も死なず、蚊もバリバリの現役です。このままでいくと来春には害虫大発生になると今から懸念されています。そして虫の生息域も気候変動により変わってきています。本来イタリアに生息していなかった虫が半島各地で増えて、例えば日本でおなじみのヒトスジシマカもイタリアではzanzara tigre（トラ蚊）と呼ばれて恐れられている立派な害虫なのです。
10月に極右政権が誕生し、周辺諸国はいろいろ心配したようですがEUやNATO離脱ということはなく、今は難問問題でフランスと外交的に悪口合戦になっています。とはいえウクライナとロシアのように武器を持ち出すことはありません。安心して？事の成り行きを見ている人が多いでしょう。今の時期イタリア国民の一番の関心は高騰するエネルギー費用と経済政策ですけれど、これに関しては全体的に目下“勉強中”といったところでしょうか。
そんなこんなで事件としては小さく扱われている現代らしい事件について書きたいと思います。11月7日付の記事によると「エミリア・ロマーニャ州フォルリンポポリ在住の64歳男性ロベルト・ザッカリアが自宅で死亡しているのが見つかった。発見者は母親、死因は服毒自殺とみられる」。ありふれた死亡記事ですが、この自殺は1年前自殺した男性ダニエレに関係していました。自殺当時ダニエレは24歳、チャットを通じて恋をして8千通ものラブメールを交換して1年間もの長い間フィアンセだと信じていた女性イレーネ・マルティーニが実在しなかったことにショックを受けて天井から首を括ったのでした。さあ、もうお分かりですね、実はイレーネは64歳のロベルトだったのです。ではなぜ1年後にロベルトが自殺したかと言うと、ロベルトが死ぬ4日前にイタリアのTV番組「Le Irene」でロベルトがダニエレの自殺に関係している“社会の敵”として、母親が乗る車いすを押すロベルトにインタビューしようとしているところが放送（11月1日放送分）されたのです。横向きというアングルとはいえロベルトの顔は十分認識できました。翌日からロベルトの写真＆「死んで地獄に行け」と言うフレーズが書かれたポスターがフォルリンポポリの街中至る所に貼られ、彼はいわば吊るし上げられたのでした。その4日後大量の薬のカクテルを飲んでロベルトは死んだのです。現在Le Ireneのセンセーショナルな報道姿勢に問題がなかったか検証されています。またダニエレの家族はメローニ首相に宛てて「キャットフィッシングに対して厳罰」を求める書簡を出しました。現在フォルリ検察はロベルトを自殺関与罪で捜査中です。
ネットは便利ですがいわば無法地帯で、どんなことでも起こり得ると覚悟した方が良いと個人的に思っています。全般的に若い世代はネットで溢れる情報の捌き方が上の世代よりずっと上手と言われていますが、真剣な恋に破れると心も壊れてしまいます。ヴァーチャルから始まる人間関係は本当に気を付けないといけませんね。

では